大磯の静寂に佇む歴史の古刹「延台寺」|西行法師と文学の香りに包まれて

厳かな延台寺の本堂 地域紹介

ふと気になった「延台寺」という名前

最近、大磯町の知られざる魅力を調べていたとき、ふと目に留まったのが「延台寺(えんだいじ)」という名前でした。正直、これまで名前を聞いたことはあっても、足を運んだことはありません。けれど「西行法師とゆかりがある」という一文に妙に惹かれ、調べるうちにどんどん興味が湧いてきました。

旅ラン作家として地域を走り、文化や歴史に触れることを楽しみにしている私にとって、この延台寺は「知っておきたい場所」になったのです。

延台寺の由緒|時代を超えて佇む禅寺

延台寺は神奈川県中郡大磯町にある曹洞宗の禅寺で、正式には「海嶽山 延台寺(かいがくざん えんだいじ)」といいます。創建の時期は明確ではないものの、鎌倉時代以前にはすでに存在していたとされる、歴史ある古刹です。

かつては真言宗でしたが、のちに曹洞宗に改宗され、現在は静かな住宅街の中に、ひっそりと落ち着いた佇まいを見せています。

延台寺は地元の人々からも「静けさの中に心が洗われるような場所」として親しまれており、観光スポットとして派手さはないものの、訪れた人の心に残るお寺です。

西行法師とのゆかり|「西行戻しの松」伝説

延台寺が文学好き・歴史好きにとって魅力的なのは、なんといっても「西行法師」とのつながりです。

平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した西行は、風雅を愛する放浪の歌人として知られています。その彼が東国を巡る途中、大磯の地で思い悩み、俗世との縁を断ち切ることを決めたという逸話があります。

その折、西行が思いを巡らせたとされるのが「西行戻しの松」。この松の近くにある延台寺は、西行が一時身を寄せた場所とも伝わっています。彼がこの地で詠んだとされる歌や句も残されており、まさに「文学の風」が漂うお寺なのです。

文学碑と静寂の境内

延台寺の境内には、西行の句碑だけでなく、近代の女流歌人・与謝野晶子の歌碑も建立されています。

晶子が詠んだ歌は次の通りです。

「大磯の 松の木かげに 湧きいずる 泉にきよき わが心見む」

この一首には、松林の静けさの中で湧く泉のように、自分自身の心の澄みきった部分を見つめたいという晶子の想いが込められています。

彼女が大磯を訪れた際、延台寺の落ち着いた空気に惹かれ、この歌を残したとされています。

こうした文学碑が佇む境内は、派手さはなくとも、歴史と文学を愛する者にとっては心が震える空間です。静かに佇む木々の間を歩きながら、それぞれの歌碑に目を向けるだけでも、穏やかな気持ちになります。

アクセスと周辺のおすすめスポット

  • 所在地:神奈川県中郡大磯町東小磯
  • アクセス:JR東海道線「大磯駅」から徒歩約15分
  • 開門時間:境内自由(マナーを守って静かに見学を)

延台寺は大磯駅から徒歩圏内にあり、観光や散策ルートに組み込むのにちょうどよい距離です。近隣には、照ヶ崎海岸、旧吉田茂邸、大磯城山公園などの名所も点在しており、“半日歴史さんぽ”としても楽しめます。

まとめ|知らなかった地元の深みに触れる

今回の記事は、私がまだ訪れたことのない場所「延台寺」を調べた上での紹介でしたが、正直「行ってみたい!」という気持ちが高まりました。

地元・大磯には、まだまだ自分の知らない魅力がたくさんあります。そしてそれは、ただ観光するだけでは見えてこない、「歴史」や「人の思い」に触れることから始まるのかもしれません。

この記事を読んでくださった方にも、「延台寺っていいな」「今度大磯に行ってみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。


この記事を書いた人:芦原 真司(あしはら しんじ)
湘南・大磯を拠点に活動する旅ラン作家。マラソン大会や歴史探訪を通じて、地域の魅力を発信中。

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