神奈川県大磯町で毎年1月中旬に行われる伝統行事「左義長(さぎちょう)」。地域に古くから伝わる火祭りであり、2020年には国の重要無形民俗文化財にも指定された、全国でも貴重な文化行事のひとつです。
この記事では、祭りの中心的存在である道祖神「セエノカミサン」の由来や、火祭りの背景、見どころなどを地元民目線でわかりやすくご紹介します。
セエノカミサンとは?|旅人と村を守る道祖神
セエノカミサンは、大磯町に古くから祀られている道祖神(さいのかみ)のひとつです。もとは旅人の安全や村の境を守る神とされていましたが、時代とともに子どもの守り神、さらには男女の縁を結ぶ神としても信仰されてきました。
名前の由来は「塞(さい)の神」が訛ったものとされ、「塞ぐ(ふさぐ)」=悪霊や災いの侵入を防ぐ存在です。大磯町内では、旧東海道沿いに9体のセエノカミサンが点在しており、今なお多くの住民に大切にされています。
火祭り「左義長」とは|9つのやぐらに込められた祈り
左義長は、正月飾りや書き初め、縁起物などを集めて燃やす伝統行事。大磯では「サイト」と呼ばれる9基のやぐらを組み、これらを一斉に火に包むことで、厄を祓い、家内安全や無病息災を願います。
中でもユニークなのが、地元に伝わる「目一つ小僧」という厄神の逸話。村人の行いを帳面に記していたこの厄神が、セエノカミサンに帳面を預けたところ、困った神様が家ごと燃やしてしまったという、少し笑えてちょっと怖い伝承もあります。
また、以下のような言い伝えも残っています:
- 火で焼いた団子を食べると風邪をひかない
- 書き初めが高く舞い上がると字が上達する
- 松の枝を屋根に載せると火除けになる
地元の絆をつなぐ、暮らしの中の行事
左義長は、大磯町の人々にとって単なる祭りではなく、地域の絆を再確認する年中行事です。江戸時代から受け継がれ、今でも多くの地元住民が参加し、家族ぐるみでこの伝統を守り続けています。
ふんどし姿の若者たちが浜辺を駆け、火の前で力強く声を上げる姿は圧巻。写真では伝わりきらない、現地でしか味わえない熱気がそこにはあります。
おわりに|火の祭りが教えてくれる地域文化の尊さ
今回、大磯町の左義長について深く知る中で、「セエノカミサン」という道祖神の存在や、火に込められた祈りに心を動かされました。伝統行事には、その土地の歴史や人々の思いが詰まっています。
実際に足を運んでみることで、その空気や温度、声を感じてほしい。それは旅をより豊かにする、かけがえのない体験になるはずです。
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✍️ 執筆者プロフィール
芦原 真司(あしはら しんじ)|旅ラン作家・Webライター
全国各地のマラソン大会に参加しながら、その土地の魅力や文化・風景を「走る目線」で発信。神奈川県・湘南エリアを拠点に、地元ならではの視点で地域の魅力を綴っています。
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